血友病薬害被害者の方のセルフケアについて

健康管理について

血友病薬害被害者の皆さんは血友病・HIV感染症・C型肝炎など複数の疾患を合併しているため、それらの疾患を管理することが重要です。既に皆さんの多くは様々な治療を行い、できるだけ良い状態を維持できるようにしていると思いますが、時代とともに治療も環境も多様な変化を遂げています。
今の状態をより良く、より長く維持するためには、日頃からの健康管理はとても大切です。

例えば…

血友病について

血友病の定期治療を継続することは、血友病管理で最も大切です。加齢による視力低下や関節症による拘縮のため、自己注射が難しくなる場合もあります。今は治療薬の種類も増えていますので、生活に合った定期治療を考えることや、訪問看護サービスを利用するなどの工夫ができます。
また、血友病性関節症の悪化や、それに伴う筋力の低下、体力の低下によって、今までと同じ生活は難しくなることもあります。リハビリや装具の利用で安全・安楽に暮らしていくことを考えたり、場合によっては生活環境を整えていくことが必要になるかもしれません。

HIV感染症ついて

近年新しい薬がたくさん出ています。既に長期間治療を受けており、薬剤耐性ウイルスがある場合、多くの薬剤を組み合わせた治療が必要なこともあります。内服を継続していくことはもちろん大切なことです。でも少し大変になってきたと感じたら、少しでも錠数を減らす、内服回数を減らすなど、できる工夫があるかもしれません。服薬を継続していく工夫を一緒に考えていきましょう。

C型肝炎について

抗ウイルス薬やインターフェロン等により、すでにウイルスが排除されている方が多いと思いますが、ウイルスが排除されても、肝臓の状態が著しく改善するわけではありません。肝硬変・肝臓癌の発生リスクがあるため、消化器内科で肝臓エコー検査を実施する等、定期的な評価が必要です。

年齢が高くなるほど生活習慣病・悪性腫瘍・心血管疾患等の合併が多くなり、一度そのような合併症を起こすと、その後の生活に大きな影響を及ぼします。日頃から食事・運動に配慮した規則正しい生活を送り、定期的に検診を受けることも必要です。
治療の継続と日頃からの健康管理を行いながら、受診の際には医療者とも相談し、より良い療養生活が送れるようにしていきましょう。

メンタルヘルスケアの大切さ

思っていることをじっくり話す時間、普段の生活の中でどのくらい持っていますか?血友病薬害被害者の方々の中には、薬害という大変な経験を生き抜き、長期にわたる治療を続けてこられたことで、生活上のさまざまな制限や負担を「当たり前のこと」「仕方ないこと」と感じておられる方々も少なくありません。ですが、知らない間に積もり積もった思いがストレスとして溜まっていることがあります。話すことは頭の中や気持ちの整理になったり、少しホッとしたり、これまでと違う視点で物事が見えるきっかけになります。これまで当たり前にやっていたことの中に実はさまざまな工夫が凝らされていたことを知り、自分なりに出来ていること、自分なりの病気への向き合い方、治療における自分らしさを改めて意識する機会になります。

カウンセラーは、血友病薬害被害者の方々が健康的に過ごせるよう、メンタルヘルスを含めたお手伝いが出来ればと思います。ぜひお気軽にご利用下さい。

緊急時カードについて

緊急時に迅速な止血管理につなげられるように、緊急時カードを携帯しましょう。

交通事故などの予測不能な出来事や、突然の出血はいつ起きるかわかりません。救急対応を行う医療機関が、血友病診療の経験が少なかったり、凝固因子製剤を常備していない場合もあります。患者さんご自身やご家族が、血友病のため凝固因子製剤が必要なことを医療者や救急隊に伝えることが重要です。可能であれば手持ちの凝固因子製剤を持参しましょう。

当院作成の緊急時カードを準備しております。ご本人用とご家族用がありますので、ご希望の方はHIV相談室スタッフまでご連絡ください。

ご本人用

ご本人用 表面

ご本人用 裏面

ご家族用

ご家族用 表面

ご家族用 裏面